「経営・管理ビザ」とは|制度の基本と活動内容までを解説

経営管理ビザの定義と活動内容を解説するイメージ図

日本でビジネスを立ち上げたい。 あるいは、企業の中枢に入り、経営や管理を担いたい。 そう考える外国人にとって、避けて通れない在留資格が 「経営・管理」ビザです。 かつては「投資・経営」と呼ばれていましたが、現在は単なる資金力ではなく、経営の実体と管理能力そのものが厳しく問われる資格へと変化しています。 本記事では、経営・管理ビザの制度上の正確な定義を押さえたうえで、 実務で頻出する申請パターンと、申請現場で実際に起きている「リアル」を整理して解説します。

目次

経営・管理ビザの定義

経営・管理ビザとは、日本国内において **貿易その他の事業の「経営」**を行い、 または当該事業の 「管理」 に従事するための在留資格です。 この資格は、2015年の法改正により、旧来の「投資・経営」から名称変更されました。 以前は外資系であること、つまり「投資」が前提とされていましたが、現在は 国内資本のみの企業であっても、外国人が経営の中枢を担うのであれば取得可能 です。 ただし、2025年10月16日施行の法改正により、新規申請のハードルは大きく引き上げられました。 現在は、次の2点が最低限の法定要件として求められています。 資本金3,000万円以上 (株式会社は払込資本金、合同会社は出資総額、個人事業は投下総額で評価) 日本人等の常勤職員1名以上の雇用 以前の「500万円」基準を前提に計画を立てている場合、その時点で要件を満たさず、不許可となるリスクが高くなります。 なお、改正前からすでに経営・管理ビザを保有している方については、2028年10月までの経過措置が設けられています。ただし、これから新規取得を目指す場合は、新基準のクリアが必須です。

経営・管理ビザで認められる主な活動内容

新規事業の立ち上げ(起業)

外国人自身が出資し、代表者として会社を運営する活動です。

2025年10月以降は、3,000万円の出資額に見合う事業計画と、経営者としての体制が総合的に審査されます。

既存事業への経営参画・管理代行

役員就任や、支店長・工場長などの管理職としての活動も対象となります。 必ずしも代表者である必要はありません。

【重要】現在の在留資格による「切り替え」の要否

日本で経営活動を始める際、現在お持ちのビザの種類によって「経営・管理」への変更が必要な場合と、そのままのビザで活動できる場合に分かれます。

就労ビザから独立・起業する場合は「変更」が必須

現在、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「技能」などの就労ビザで働いている方が、会社を辞めて起業する場合、そのままの在留資格で経営活動を行うことはできません。 たとえ在留期限が残っていても、 経営を開始する前に 必ず「経営・管理」ビザへの変更許可を受ける必要があります。 無許可のまま事業を行うと、資格外活動と判断され、不法就労のリスクが生じます。 独立のタイミングは、在留資格の切り替えと必ずセットで考える必要があります。

身分系のビザなら「経営・管理」への変更は不要

一方で、次のような 身分に基づく在留資格 を持っている方は事情が異なります。 日本人の配偶者等 永住者 永住者の配偶者等 定住者 これらの資格には 活動内容の制限がありません。 そのため、日本人と同様に、自由に経営や管理業務に従事することができ、 あえて経営・管理ビザへ変更する必要はありません。

経営・管理ビザで想定される主な申請ケース

実務上、経営・管理ビザの申請は、概ね次の5つのケースに集約されます。

就労ビザで勤務中の外国人が独立して起業する

日本企業でエンジニアや営業職として経験を積み、その後独立するケースです。 前職と新規事業の関連性は問われませんが、3,000万円という資金をどのように形成したかが厳しくチェックされます。

留学生が卒業後、日本でそのまま会社を設立する

就職ではなく起業を選択するケースです。 学生でありながら高額な出資金をどう準備したのか、送金経路を含めた立証が重要になります。

「家族滞在」で在留中の家族が事業を立ち上げる

家族滞在ビザのままでは週28時間の制限がありますが、 経営・管理へ変更することで、時間制限なく事業に専念できます。

海外法人が日本へ進出し、拠点を経営する

海外で実績のある法人が日本法人を設立し、経営者を派遣するケースです。 法人の信用力が審査に反映されやすく、比較的安定した申請となる傾向があります。

海外在住の個人投資家・起業家が日本で新規事業を行う

日本との接点が少ない場合、国内協力者の有無や事務所の実体が大きな判断材料となります。

専門家が教える「経営・管理」の本質とリスク

経営・管理ビザは、就労ビザの中でも 最も申請リスクが高い資格 です。

3,000万円を投資し、事務所を契約しても、事業の継続性が否定されれば不許可となります。 実際に、事務所を借り、登記まで済ませたものの、 「自宅の一部」で独立性が認められず、事業実体が否定されかけたケースもありました。 新基準では、資金力だけでなく、経営経験・事業計画の完成度が強く問われます。 不許可となった瞬間に、数千万円の投資が無駄になる可能性があるからこそ、 「書類を揃える」だけでは足りないのです。

まとめ:経営・管理ビザは「事業のしつらえ」がすべて

2025年10月以降、経営・管理ビザは 資本金3,000万円・常勤職員1名以上という高い基準が設定されました。 しかし、これはあくまで最低ラインに過ぎません。 出資金の形成過程を含めた説明 独立した専用事務所の確保 実効性のある事業計画 これらが揃って初めて、日本でのビジネスがスタートします。 投資を無駄にしないためにも、制度を正しく理解したうえで、慎重な準備が不可欠です。

この記事の監修者

コノウエナーク行政書士事務所 

代表行政書士 中田 光広


登録情報

  ・日本行政書士連合会 登録番号第25100847号
  ・千葉県行政書士会  会員番号第24140号
  ・届出済行政書士(在留資格申請取次業務)

取扱業務

 ・各種ビザ申請業務
  (就労ビザ,経営管理ビザ,特定技能ビザ,配偶者ビザ等)
 ・外国人雇用サポート
 ・永住権取得
 ・帰化許可申請業務
 など国際業務を専門

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